株主様の皆様へ トップメッセージ
代表取締役会長 兼 社長 CEO

国内外食が想定を上回る好調
下期は、攻めてさらなる成長へ
―物価高や米不足など厳しい外部環境が続いていますが、上期を振り返っての感想をお聞かせください。
2025年上期は、売上高が前年を上回り増収となりました。一方で、営業利益はわずかに下回る水準で推移しております。国内外食事業が想定以上に好調であったことから、グループ全体の業績を下支えいたしましたが、宅食事業における調理済み商品の食数減少が課題となりました。3月にやむを得ず実施した値上げの影響も一因ではありますが、下期に向けては業界最安値を目指す「新商品」を開発いたしました。この新商品を柱に、全社一丸となって巻き返しを図ってまいります。
各事業の下期の取り組み
―各事業の進捗状況と、下期に向けた展開についてお聞かせください。
「好い日の御膳」記者発表会にご登壇いただいた、
ワタミの宅食公式アンバサダーの徳光さんと
トークセッションを開催
〈宅食〉 この秋、社運をかけた新商品「好い日の御膳」の全国販売を開始しました。一人でも多くの方に、健康で心豊かな毎日を過ごしていただきたい。その思いで、2年の歳月をかけて開発した商品です。仕入れ・製造・物流の全工程を見直し、配送料込みで1食450円(ご飯付き500円)という価格を実現しました。仕入れでは取引先を拡大し、世界中からおいしくて安価な食材を調達。製造では手づくりの割合を高め、新設備に数億円を投じて生産性も向上させています。物流面でも、週2日で6食をお届けできる体制を整え、容器は2ミリの薄さにこだわるなど配送効率を30%改善しました。全工程であらゆる工夫を凝らし、品質とコストの両立を図っています。
テスト販売では、味の満足度が92%、返金率はわずか0.2%と、手応えは上々です。「低価格」と「おいしさ」を両立させた自信作ですので、株主の皆様やご家族様にもぜひご賞味いただきたいと思います。
新商品「好い日の御膳」は業界最安値に挑戦
おかずのみ450円、ご飯付きは500円
冷凍惣菜の宅食ダイレクトも、売上が前年比40%増と好調に推移しております。ワタミファーム産のグラスフェッドミルクや有機野菜を使用したメニューも大変好評をいただいております。さらに、4月には第二の自社製造拠点「ワタミ手づくり厨房 栃木センター」が本格稼働を開始しました。お客様からの「もう少しボリュームが欲しい」との声をもとに誕生した新商品「満足ディッシュ」も、今秋より販売を開始いたします。
宅食事業全体では、今年度末までに28万食の提供を目標としております。9月に実施した記者会見では、「2026年3月までは値上げを行わない」方針を発表いたしました。今後もできる限り価格を抑えながら、「一人でも多くのお客様にお届けする」という事業の原点に立ち返り、「好い日の御膳」を中心に食数の拡大を進めてまいります。
〈国内外食〉
サブウェイ事業は想定を超えるペースで成長しています。既存店の売上は59か月連続で前年比100%を上回り、1店舗あたりの売上も増えています。新規出店も当初の計画を大きく上回り、2024年10月から2026年3月までの出店数が50店舗近くになる見込みです。当社が手掛けることで注目度が高まり、商業施設からの出店要請やフランチャイズ加盟希望が多く寄せられています。
10月からは、酸味や苦味、フルーティーさのバランスを追求した「サンド専用ドリップコーヒー」の全店舗での販売を開始しました。12月には、世界のサブウェイでサンドイッチに次ぐ人気商品である、クッキーの販売も始める予定です。9月から期間限定で販売している新商品「だしタル」など、日本らしいローカルメニューも続々と開発しています。さらに、米粉を使用したグルテンフリーのパンも開発中ですので今後のチャレンジ、展開にご期待ください。
居酒屋・焼肉業態も引き続き好調です。各店舗のQSC(品質・サービス・清潔さ)の高さに加え、“手づくり” や高品質な食材への原点回帰を進めていることが、お客様からの高い評価につながっていると思います。年末商戦に向けて宴会メニューの充実と人員確保を図り、万全の体制を整えていきます。
「bb.q オリーブチキンカフェ」は地道に売上を伸ばし、平均月商が800万円を超える水準となりました。「韓国で人気No.1のフライドチキン」を前面に打ち出し、ビビンバなどの韓国料理も提供することで、ブランド認知度の向上につながり、好調に推移しています。
8月にオープンした小型店舗
「TGIフライデーズ 神奈川芸術劇場店」
また、8月には4年ぶりに「TGIフライデーズ」の新店舗を横浜にオープンしました。従来の半分ほどの小型店舗でありながら、天井が高くテラス席も備えた開放的な空間と、ランチ需要を取り込める立地により、早くも注目を集めています。この小型モデルでのフランチャイズ展開を進め、2030年までに30店舗体制を目指してまいります。
シンガポールに出店した
「居食屋 和民 Mandai Wildlife 店」
8月には、アジア最大級の野生動物施設があるシンガポール・マンダイ地区に「居食屋和民」をオープンしました。台湾では10月から3か月連続で新店を開店予定で、上海では11月に「三代目鳥メロ」の2号店をオープンする計画です。さらに、香港では出店の汎用性が大きい小型の業態モデルを新たに開発していきます。フィリピンでは22店舗、韓国では18店舗に拡大するなど、アジア各国で順調に成長しております。米国のロサンゼルスでは、お寿司や小料理をふるまう居酒屋を来年2月にオープンする予定です。将来的には、海外事業全体で日本事業と同規模の売上を実現できるよう、新たな業態の開発に注力してまいります。来期は海外外食事業のさらなる拡大が見込まれており、100店舗の達成を目標としております。
来年から千葉県香取市で米づくりを開始します。ワタミグループでは、これまで20年以上にわたり千葉県山武地域で農業に取り組んでまいりました。地域の皆様との信頼関係を基盤に、年間100t以上のお米を生産する計画です。北海道当麻町では「ゆめぴりか」を中心に約330tを生産しており、これまで培ったノウハウも活用してまいります。将来的には、全量を自社で生産できる体制を目指し、農業生産体制の強化を進めてまいります。
北海道美幌峠牧場のグラスフェッドアイスは、国内外食事業で実施したキャンペーンにおいて7日間で約3万5千個を販売するなど非常に好評で、7月からはサブウェイ直営全店舗での販売を開始しました。
さらに、サブウェイ事業との連携を強化し、物流体制も大きく見直しました。今夏より、ワタミが仕入れから物流まで一貫して担う体制に切り替え、土壌・製造・品質の「サブウェイ基準」を満たす安心・安全な野菜を安定的に供給してまいります。
夢の実現と幸せを応援する
環境・社会・人材への取り組み
―SDGs、地域・社会貢献へのワタミの取り組みについてお聞かせください。
8月11日に開催された
「高校生夢AWARD in 大阪・関西万博」
岩手県陸前高田市での森林再生活動では、森林のCO2吸収量をJ-クレジットとして販売する取り組みが本格化しています。ワタミエナジーが販売を担当し、ワタミグループが第1号として購入しました。5月には「ワタミの森」の森開きと第1回森林保全活動を実施し、多くの企業と連携しながら活動の輪を広げています。
今年で6回目を迎えた「高校生みんなの夢AWARD」は、大阪・関西万博のメイン会場で開催しました。過去最多となる2,464名からの応募があり、高校生がビジネスアイデアを通じて夢を語る貴重な機会となっています。これからも若い世代の夢の実現を積極的に応援してまいります。
海外では、長年のご縁があるバングラデシュにおいて、日本での就労を見据えた人材育成を行う「ジャパントレーニングセンター」を10月に開校しました。「日本の人手不足の解消」と「バングラデシュの若者の夢の実現」を両立させるWin-Winのモデルとして、今後も世界に広めていきたいと思います。
―ー「社員の幸福」向上の取り組みについてもお聞かせください。
今年度は5%の賃上げを実施した結果、社員の幸福度に関するアンケートの数値が大きく向上しました。「経済的に余裕ができ、貯金ができている」という項目の改善が、他の項目にも好影響を与えています。来年度は7%の賃上げを目標に掲げ、各部署がそれぞれ目標達成に向けた具体的な取り組みを進めているところです。
加えて、定年制度を見直し、定年を60歳から65歳に、再雇用の上限を70歳から75歳に延長することにしました。社員には安心して長く働いてほしいとの思いからであり、私自身も一人でも多くの社員と一緒に働き続けたいと思っています。社員の幸せを第一に掲げている当社らしい制度変更であると考えています。
―最後に、株主様へのメッセージをお願いします。
昨年に引き続き、パシフィコ横浜にて「開かれた株主総会」を開催し、多くの株主様と直接お会いすることができました。今回の総会でいただいたご意見を踏まえ、株主優待券の利用方法を一部変更することを決定いたしました。今後も株主様との対話を大切にしてまいります。
ワタミグループにとって株主総会は、議案を諮るだけではなく、私たちの取り組みや成果、そして思いをお伝えし、将来の夢を共有する貴重な機会です。総会で発表した5年後の夢「サブウェイ600店舗、宅食40万食、海外400店舗」の実現に向け、一つひとつ着実に布石を打っております。
株主の皆様には、今後の展開を楽しみにしていただくとともに、ワタミグループへの変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。