株主様の皆様へ トップメッセージ
代表取締役会長 兼 社長 CEO

各事業とも堅調に推移
足元を固めながら攻めていく
―物価高や円安など厳しい外部環境が続く中、2024年度は増収営業増益となりました。振り返ってみて、どのように感じていますか。
2024年度は「足元を固める」ことが大きなテーマでしたが、その通りの堅調な1年だったと思います。嬉しい誤算だったのは、国内外食事業が想定以上に好調なことです。コロナ前と比べても完全に復調したと言えます。宅食事業は値上げにより食数が減少しましたが、単価が上がり増益を確保することができました。また、海外事業も赤字から黒字に転換しつつあります。これからの成長に向け、足元をしっかり固められた1年となりました。
―今後の外部環境については、どのような見通しを持っていますか。
国内では今後も厳しいインフレが続き、世界的にも米国の政治情勢など決して油断できない状況が続くと見ています。ワタミグループでは以前から、円安が進行して、大きな経済的ダメージが来る想定で経営をしています。引き続き足元を固めながら、“攻め”と“守り”を明確にして、「サブウェイ」「宅食」「外食」という3部門で積極的に攻めていく考えです。
サブウェイの新たな挑戦と各事業の取り組み方針
―来期、各事業をどのように進めていくのか、お聞かせください。

24年10月以降も売上前年比達成中
M&A後も好調に推移
昨年10月に、サブウェイを日本国内で展開するマスターフランチャイズ権を獲得し、日本法人を買収しました。40か月以上連続で前年比100%の売上を維持する、非常に良好な状態で受け継ぐことができました。この好調をさらに高め、ワタミのサブウェイとして、10年で1,000店舗超、将来的には3,000店舗を目指します。今年は35店舗、来年は50店舗を出店して基盤を固め、その後は年間100店舗のペースで出店攻勢に入る計画です。
今年2月には本社ビル1階に直営店を構え、4月には横浜にモデル店をオープンしました。このモデル店では、最新の店舗デザイン「フレッシュフォワード2.0」を日本で初めて導入し、ワタミが独自に開発したサンドイッチや大きく改良したコーヒーを新たに提供します。新サンドイッチの第一弾として、ワタミの強みである焼肉を活かした牛カルビ、居酒屋で人気のカニカマをベースにしたシーフード系、そしてパンの代わりに新鮮なレタスで具材を包む、ヘルシーで画期的な商品を開発しました。また、お客様のお好みで注文方法を選べるよう、システムの導入も順次進めていますので今後の展開にご期待ください。
居酒屋・焼肉業態も引き続き好調です。創業当初からの強みに原点回帰し、“手づくり”にこだわることで、いずれの業態も商品の評価が高まっています。焼肉業態では、学生向けのランチタイム食べ放題など若年層向けのサービスも強化し、大きな反響を得ています。
昨年に新業態として立ち上げた、テイクアウト・デリバリーとイートインを組み合わせた寿司業態「銀政」も順調です。3月に2店舗目がオープンし、フランチャイズ展開も十分可能性のある業態だと思っています。

アジアのフィリピンでは22店舗展開
今後もアジアに出店を拡大
昨年M&Aを実施したシンガポールの「リーダー・フード」と米国の「サニー・スシ・カンパニー」は、想定通りの売上と利益を上げています。リーダー・フードはアジア全体のワタミグループの仕入れ強化に向けた布石となっており、サニー・スシ・カンパニーはネバダ州での寿司・おにぎりの卸売りビジネスモデルを確立して、他の州にも展開できる手応えを感じています。また、年内にロサンゼルス近郊に直営店を出店する計画があります。加えて、テキサス州ヒューストンには和牛焼肉店をオープンします。高い客単価を見込むとともに、アメリカでの和牛と和食文化の普及にも期待しています。
アジア各国では、フランチャイズを中心に出店を強化しています。フィリピンでは、現地向けにローカライズした「和民」の業態が22店舗まで拡大し、一つのモデルを確立しました。このモデルをベトナムなど各国に横展開したいと考えています。
2025年度は、海外事業全体で過去最高益を見込んでいます。今年度もM&Aを含め、積極的に海外展開を拡大していきます。

新ブランド「好い日の御膳」
4月から関東エリアで販売開始
昨年12月に発売した糖尿病などの食事管理に対応した新商品「ワタミdeおいしい健康」は、日販3,000食を超える好調なスタートを切りました。日本人の5人に1人が糖尿病患者または予備軍と言われていますから、もっと人気商品になると思っています。糖尿病などの食事管理に対応した食事が毎日届く利便性は極めて高いですし、外食事業40年の経験を活かしておいしさも実現しています。引き続き医療機関とも連携し、販売を拡大していきます。
今年、最も注力する新商品として、「好い日の御膳」「好い日のおかず」を開発しました。「ワタミの宅食はおいしいけれど、少し高い」と感じている潜在層に向けて、既存商品より低価格帯で冷蔵のお弁当とおかずを提供します。この価格帯を実現するのは簡単ではなく、メニューの工夫はもちろん、工場の生産性なども全て見直した中で、ようやく開発できた商品です。まずは4月から関東エリアで販売を開始し、秋には全国に展開する予定ですのでご期待ください。

サブウェイの社員が山武農場で
有機野菜の収穫体験
ワタミファームが2002年から培ってきた有機農業のノウハウを活かしながら、全国の農家とも連携し、サブウェイに野菜を供給しています。2月に「サブウェイ生産者会議」を開催し、全国から集まった約50の農業生産者に参加を呼びかけました。
サブウェイの野菜づくりでは、「土壌管理」「製造工程の管理」「品質管理」の3点を徹底し、安全でおいしい野菜を提供します。「サブウェイの野菜は違う」とお客様に実感していただけるよう、安全・安心で土にもこだわっていることをしっかりアピールしていきます。
また、北海道美幌峠牧場のグラスフェッドアイスも、低カロリーのデザートとしてサブウェイとの親和性が高いと考えています。サブウェイのグローバル基準を満たす工場での製造体制が整い次第、サブウェイでの販売を開始する計画です。
サブウェイ以外の業態についても、季節ごとに旬な有機野菜を取り入れたメニューの展開や血糖値の上昇を抑える効果のある「有機きく芋」を居酒屋のお通しやお茶で提供するなど、引き続きワタミファームの商品を強化していきます。
ワタミモデルを未来へ
環境・社会・人材への取り組み
―岩手県陸前高田市での地域・社会貢献の活動が、実を結び初めていると聞きました。今後の展開をお聞かせください。
東日本大震災が発生した2011年から陸前高田市の復興に関わり、“地元のものを売る”“地元に人を呼び込む”という2つのことにチャレンジをしてきました。今年2月には、陸前高田市と企業7社が連携して「陸前高田市企業等による森づくり制度に関する協定」を締結しました。この協定により、「企業の森」活動を通じて全国から企業の従業員や家族を陸前高田市に呼び込むことができます。また森林のCO2吸収量をJ-クレジットとして販売することで地元の資源に新たな価値を生み出すこともできるようになりました。ワタミグループが主導してきた取り組みですので、第1号としてJ-クレジットを購入し、森林活動を積極的に盛り上げていきます。
加えて陸前高田市のワタミオーガニックランドでは、4年間の歳月をかけて育てたぶどうで初めてのワインが遂に完成しました。日本の伝統品種であるマスカット・ベーリーAを使用し、フルーティーで和食に合う味わいに仕上がっています。生産量が限られていますので、「0からワインをつくる会」の会員様や、オーガニックランドに来場いただいたお客様を中心にお楽しみいただきたいと思います。
―「社員の幸福」に向けた賃上げについて、実施状況と今後の方針をお聞かせください。
今年も経済産業省の「健康経営優良法人」に4年連続で認定されました。当社は経営目的の第一に「社員の幸福」を掲げ、社員が幸せになるための7つの項目を設定しています。
その一環として今年度は5%の賃上げを実施する予定です。先日の幹部研修会では、2026年度もさらに賃上げを実現できるよう、「賃金が上がる会社にするために何をすべきか」をテーマに議論を重ねました。生産者と付加価値を高め、社員にも、株主の皆様にも喜んでいただく。全てのステークホルダーが幸せになれる経営を追求していきます。
―最後に、株主様へのメッセージをお願いします。

「健康経営優良法人」に4年連続認定
社員を賞賛する機会を大切にしています
創業50周年となる2034年に売上高3,000億円、2048年に1兆円という目標に向けて、一切ぶれることなく前進しています。40年かけて確立した「ワタミモデル」を、次の10年で3,000億円規模に成長させていく。その構想はすでに描けておりますので、あとは一つひとつ着実に実行していくだけです。
ワタミモデルが3,000億円、そして1兆円へと広がることで、社会が良くなり、未来の子どもたちから「ありがとう」と言っていただける会社になることを目指しています。株主の皆様には、同志として私たちの挑戦を見守り、共に歩んでいただけたら幸いです。今後ともワタミグループへの変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。